関節リウマチとは
一関市でリウマチ科をお探しの方は当院へ
関節リウマチとは、関節の赤みや痛み、腫れや熱が続き、軟骨や骨が破壊されてしまう病気です。ひどくなると関節の変形や関節機能の障害を招きます。関節は一度破壊されると、もとの状態に戻りにくいといわれています。悪化すると治療の効果が出るまで時間がかかることも多いので、小さな症状でも見逃さず、早期診断・早期治療を心がけることが必要です。
40代の女性に多く発症する関節リウマチ
日本で関節リウマチに悩んでいる方は70〜80万人ほどいるといわれています。40代で診断されるケースが多いです。40代から60代までの世代では、年齢が上がるとともに患者さんの数が増加傾向にあります。
また、関節リウマチは女性に多く、男性に比べて女性の方が3倍もかかりやすいとされています。ゆえに、40代女性に多く発症する病気とされています。
関節リウマチの進行
関節リウマチを発症すると、半年~1年ほどで軟骨や骨が破壊される段階まで進行するといわれています。ただし、症状が進むスピードには個人差があります。快方と悪化を繰り返す例がある一方で、軽度の症状があるのみでほとんど進行しない例も珍しくありません。
早期の診断・治療が寛解への近道に
関節リウマチの治療においては、治療効果が高く寛解を目指しやすい「Window Of Opportunity(治療機会の窓)」と呼ばれる時期があると考えられており、この時期に治療をスタートさせるためにも早期診断・早期治療が重要視されています。
関節リウマチが原因で破壊された関節はもとの状態には戻らず、さらに症状が進行すると日常的な動作に支障が出ることが多くなります。しかし、たとえ発症しても早期に治療をはじめれば身体機能の低下がない状態を取り戻すことが可能です。早期に治療を始めることで、症状が落ち着いて安定しやすくなるのです。
関節リウマチは症状や程度の個人差が大きいことに加えて、似た症状が出る他の病気との区別が難しい傾向があるため、まずはリウマチ科での診断が必要です。関節の痛みなど、関節リウマチを疑うような症状がある場合は放置せず、早めに受診しましょう。
リウマチにおける寛解(かんかい)とは
病気の症状がおさまったり軽減していたりする状態を寛解(かんかい)と呼びます。
関節リウマチの場合は
- 臨床的寛解:炎症がほぼなくなっている状態
- 構造的寛解:レントゲン検査をして関節破壊の進行がおさえられているとわかる状態
- 機能的寛解:身体機能の低下がない状態
この3つの寛解がそろう状態を目指して治療を行います。
関節リウマチの症状
朝方に関節のこわばり・腫れや痛み
初期症状としては朝方に関節のこわばりが気になるようになり、関節の腫れや痛みを感じることもあります。こわばりや痛みは、体の左右対称に出ることが多く、ブヨブヨとした腫れがみられるのも特徴です。
症状が進行すると関節が変形してしまい、その部位を動かせる範囲が狭くなることもあります。そのほか、倦怠感や疲労感、微熱、体重の減少、貧血などがあらわれるケースもよくあります。
日常生活への影響
関節リウマチは、関節のある手や足のみならず、全身の不調を引き起こす可能性がある病気です。
初期段階では「なんとなく体が重い気がする」「関節が痛むような気がする」といった症状のみで、ある程度進行した場合に関節リウマチの特徴的な症状が出てくるパターンが多いです。
以下のような症状がないかチェックしてみましょう。
関節リウマチの症状チェックリスト
- 朝、目覚めると手がこわばっていると感じることがある。
- 食事や洗顔などの日常的な動作に支障が出ている。
- 関節が痛くて眠れないことがある。
- 関節がブヨブヨと腫れている。
- 重い物を持ったときに関節の痛みを感じる。
- 階段の上り下りで関節の痛みを感じる。
- ビンのふたやドアノブを回す際に関節の痛みを感じる。
- 体がだるくて力が入らないことが多い。
- 体が鉛のように重いと感じることが多い。
- 眠気が強く、横になっていたいと感じることが多い。
気になる症状がある場合は、一度ご相談ください。
関節リウマチの原因
関節リウマチは自己免疫疾患のひとつ
関節リウマチの発症に関して、今のところ明確な原因はわかっていませんが、現状では自己免疫疾患のひとつとして考えられています。
自己免疫疾患とは、体を異物から守るための免疫システムに異常が生じたことから、自分の体を敵と勘違いして攻撃するようになってしまい、さまざまな症状があらわれる病気の総称です。関節リウマチの場合、関節の炎症により、痛みや倦怠感、こわばりなどの症状があらわれるようになります。
関節の炎症を引き起こすサイトカイン
関節の炎症を引き起こしているのが、免疫細胞からつくられるタンパク質「サイトカイン」です。
サイトカインは細胞の表面にある受容体にくっつき、炎症を起こすよう、細胞核に指令を送ります。すると炎症が起こり、サイトカインが過剰に分泌されるようになることから、炎症がひどくなっていくのです。
サイトカインにはいくつか種類があり、その中のIL-6(インターロイキン6)やTNF-α(腫瘍壊死因子α)が過剰に生み出されることで、関節の炎症がひどくなってしまいます。
最近では、サイトカインによる炎症が起こるメカニズムに注目が集まっており、IL-6やTNF-αの働きを抑制する治療薬(生物学的製剤)も活用されています。
関節リウマチの検査
血液検査・レントゲン検査
関節リウマチの検査では、医師による問診や視診・触診をはじめ、血液検査や尿検査・レントゲン検査などが行われます。必要に応じて「MRI検査」「超音波検査」などの二次検査を追加することもあります。
血液検査でわかること
血液検査では、炎症の程度を見るための「炎症反応の検査」と、体の抗体について調べる「免疫学的検査」などを行います。
炎症の度合いは、一般血液検査の数値で判断することができます。また、自分の体に対する抗体(自己抗体)について調べることで、関節リウマチなのかどうかの判断材料にすることができます。
画像検査でわかること
関節破壊や症状の広がりなどを調べるためにレントゲン検査を行います。より詳しく調べたほうが良い場合は、MRI検査や超音波検査などを追加で行う場合もあります。
関節リウマチの治療
受診から寛解に至るまで
検査の結果、関節リウマチと診断されたら、患者さんの病態に合わせて治療計画を立て、治療を開始して行きます。
治療の際は、3つの寛解の定義にもとづき、以下を実践していきます。
- 腫れや痛みをとる
- 関節破壊の進行をおさえる
- 身体機能の低下を防ぐ
具体的には、薬物療法やリハビリテーションのほか複数の治療法を組み合わせながら寛解を目指していきます。
※ 症状によっては手術療法が必要となる場合があります。その際は提携医療機関をご紹介いたします。
関節リウマチ治療における寛解の定義
関節リウマチの治療を進めていく上で基本となる考え方として、T2T(Treat to Target:目標達成に向けた治療)というものがあります。
T2Tでは、治療における明確な目標を定めた上で、その目標に向かって患者さんと医師が協力し、治療を行うことに重きを置いています。
T2Tの概念として、特におさえておきたいのが次の3つです。
- 患者さんとリウマチ専門医は、二人三脚で関節リウマチの治療を進めていきます。
- 症状をおさえることだけでなく、患者さんの生活の質を最大限まで改善することを治療のゴールとします。
- まずは臨床的寛解(腫れや痛みがない状態)を達成することを重要視し、治療を行います。
治療中、疑問や不安がある場合は気軽に医師に相談してください。目標を共有しながら、積極的に治療を進めていきましょう。
関節リウマチ治療中の定期検査
関節リウマチの治療開始から治療中、そして治療後も、経過観察も兼ねて定期検査を受けることが大切です。
定期検査では、主に血液検査や尿検査などを行い、必要に応じてレントゲン検査を受けるようにします。寛解状態を継続するためにも、定期検査を欠かさないようにしましょう。
関節リウマチの治療法
関節リウマチの治療法には
- 基礎療法
- 薬物療法
- リハビリテーション
- 手術療法
という大きく4つの柱があります。
基礎療法とは、食事や睡眠、運動などを通して日常生活で行うセルフケアのことです。治療中は、基礎療法と薬物療法を並行して行い、さらにリハビリテーションで身体機能の低下を防いで、寛解を目指します。
これらのアプローチを続けても症状が改善しない場合、手術療法を検討します。
関節リウマチの基礎療法
毎日の生活に取り入れたいセルフケア
関節リウマチの患者さんは、関節への影響を気にして運動不足になることが珍しくありません。しかし、適正体重をキープすることは関節への負担を減らすことにもつながります。そのため、栄養バランスのとれた食事を規則正しくとり、負担にならない程度に体を動かすようにしましょう。
たとえば、軽いウォーキングを毎日の習慣にしたり、寝る前にストレッチなどをしたりすることも、関節が固まるのを防ぐ対策になります。ただし、痛みや腫れがある場合、無理に運動することは控えましょう。
また、質のよい睡眠を十分にとることも重要です。そのほかに足湯も、体が温まって症状が楽になったと感じる方も多いのでおすすめです。
運動習慣を作ることは大切ですが、患者さんの心身に負担がかからない程度で問題ありません。疑問点や不安な点がある場合は、診察時に相談してみましょう。
関節リウマチの薬物療法
これまで関節リウマチの治療は痛みを止める治療がメインでしたが、近年研究が進み、関節炎を緩和する治療や関節の破壊の進行を抑えて寛解を目指す治療も行われるようになってきました。
ただし、薬は患者さんの症状や副作用のリスクに合わせて慎重に選ぶ必要があるため、通院での投与または入院した上での投与など、さまざまな治療の進め方があります。薬物療法は、ご自身が処方された薬に納得した上で治療を進めていくことが大切です。処方薬がご自身に合っているかどうかが気になる場合は医師や薬剤師に相談することを心がけてください。
また自分に合った薬を選ぶためにも、体の状態や症状を正確に伝えるよう心がけましょう。
関節リウマチの薬物療法で主に使われているのは、
- 従来型合成抗リウマチ薬
- 生物学的製剤
- 分子標的型合成抗リウマチ薬
主にこの3つです。
各薬の役割それぞれの薬について詳しくみていきましょう。
従来型合成抗リウマチ薬
従来型抗リウマチ薬には、「免疫調節薬」と「免疫抑制薬」という飲み薬があります。関節リウマチの発症に関係しているといわれる免疫機能にアプローチし、症状や関節破壊をおさえる効果が期待できます。
生物学的製剤
生物学的製剤は関節リウマチの症状や関節破壊を抑制する働きがあり、点滴もしくは注射で投与されます。炎症を促進する「サイトカイン」や免疫システムに関わる「T細胞」の活動をおさえることで、症状緩和につなげます。
分子標的型合成抗リウマチ薬
主な分子標的型合成抗リウマチ薬として挙げられるのは「JAK阻害薬」という飲み薬です。JAK(ヤヌスキナーゼ)とは、炎症を促進する「サイトカイン」のシグナルを伝える働きを持つ酵素のことです。JAK阻害薬は、このJAKの働きを阻害して症状や関節破壊をおさえる効果が期待できます。
その他
このほか、「非ステロイド性抗炎症薬」や「ステロイド」を使って痛みを抑えることもあります。